道場訓
空手道の修行を行うものにとって目標として一番大切なことである。
日々の厳しい稽古の中でお互いの人格を尊重し、人間性の向上発展に努力することが必要である。
第二条以下の道場訓はすべて第一条の目標達成の方法である。
誠とは真心であり、ひとたび口にした事は必ずやり遂げる、これが誠の道なのである。
言った事は実行する、嘘をつかない、ということが人からの信頼を高める根本である。
何事も努力なくしては成功することはできない。
このことは理屈でわかっていてもなかなか実行できないものである。
そこで努力するためにはまず精神、即ち心から決意する必要がある。
そして決意したことに努力して立ち向かっていく、そうでなくては何事も成しえない。
礼儀とは、最も人間性のあらわれであり、秩序の根本である。
相手を尊敬して礼をすることも当然でありうるが、実は礼儀は自分自身のためにあるということを
知らなければならない。
初対面で相手に対して、堂々としかも丁重に礼をすれば、相手は感応して信頼を高めることができる。
人間の真価は礼節にあらわれる。決しておろそかにすべきではない。
人間はとかく我が儘な心に支配される。
ちょっとしたことにでもすぐカーッとなって腹を立てる。
相手に突っかかる。
本人は勇ましく振る舞っているつもりかもしれないが、端から見ると滑稽なものである。
空手道の修行に励むものは、些細なことですぐ腹を立てるようでは、空手道の名に恥じる。
腹が立った時には、にっこり笑えるほどの心のゆとりを持つことが大切である。
道場訓とは
空手道とは古来の琉球武士の護身のための身体訓練法の一つとして伝承されてきた武術です。
空手を私闘に用いることは厳しく戒められ、空手は「義の助け」としての心意気を重んじるように
伝えられてきました。
道場訓とは空手を日本本土において初めて紹介(大正11年)し普及した船越義珍師範によって示された、
空手道を学ぶ者が人として正しく生きるための指針です。
船越師範が他界されてから半世紀以上経過していますが、この道場訓は日本全国、全世界の松涛館流派(日本空手松涛連盟・日本空手協会・国際松涛館など)の空手団体・各支部・各道場で受け継がれている共通の理念です。
空手道の修得は、基本的な技術を一応成し得る初段取得(黒帯)までに何年もかかり、毎日稽古しても3~5年は必要です。空手道は武術です。一般的スポーツとは少し違います。伝統的技術(基本や型)を正しく覚えることを重んじます。
なかなか上達しないからといって短気になっては絶対に身に付きません。また、少年部は焦らず上達を見守る保護者の理解と励ましが必要です。絶対に自分(我が子)と他者を比較してはいけません。
道場生は「道場訓」をよく理解し稽古に励み、日々の稽古を通して人として正しく生きるための知性と感性を高めることを第一の目的としてください。
生涯をかけて真面目にコツコツと稽古し、道場訓を理解・実践する精神と姿勢があれば自然に「心」・「技」・「体」が磨かれ、空手道を極めてゆくことができます。